基本独り言です\(^o^)/
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2024/09/22/Sunday
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キミの、キミたちの、しあわせを
2010/11/30/Tuesday
(緋莢誕・2010/11/26)
もしかして俺は幸せなんじゃないかと思う。
親が事故で死んで、どうにか生まれた妹は病弱で、十にもなる前にこの世を去って。一人になった俺は、訳も分からず闇に沈んで、道が分からずただ他の命を奪って。
もう光なんて浴びれやしないのだと思った。
このまま死んでゆくのだと思った。
薄汚れた人間の中で、人間を憎んで殺して、こんな世界は凍てついてしまえばいいと、思ったんだ。
―――でも、お前も人間だろ。
そんな言葉一つで、カチカチに固めた決意が溶けていったことに自分で自分を罵った。そんなに脆い覚悟だとは思わなかった。
結局俺のそれは、ただの虚勢だったのだけれど。
そいつの言う事は至って普通の、当たり前のことだった。何故そんなヤツの言うことに心を揺さぶられたのか今でも分からない。
妹を殺したのは醜い人間で。だけどその人間を異端の力で殺した俺もまた人間だと言うのだ。そんなこと分かりきっていたのに、だからこそ悔しさを感じたというのに、いつの間にか忘れていたらしい。俺も、妹もまた、ただの人間であったのだと。酷く人間臭いソイツに言われてしまえば、反論する気にもなれない。
俺は―――牧村緋莢という人間は、特別だった。世界を救う力を与えられて、人を傷つけるやり方しか知らなかった。特別なんて言葉ばかりで、俺は多分、俺の思う人間そのものでしかなかったのだ。
だからだろうか。
非力な人間でしかないだろうその少年の言うことに圧倒されてしまうような力を、眩しさを感じたのは。人間であることを、嬉しく思ったのは。
道を踏み外した自分を正してくれた平凡で非凡な存在の、行く末が気になってしまったのは。
光はすぐそこにあった。
気付かなかったのは影ばかり見てた所為だよと、当たり前のことだろと、笑う。
そう笑われる度に思うのだ。
よく俺は冷たい手をしていると言われるけど、それはお前らが暖かすぎるのだと。そんな、当たり前のことを。
(もしかして)
「おーい緋莢ー?なに主役がぼーっとしてんねん」
「え、あ、あぁ」
「あぁじゃないわよ…。いいの?そんなんじゃ私ぜーんぶ料理食べちゃうわよ」
「陸さんは言わなくても食べますよね」
「あんたね、ちゃんと緋莢の分くらいは残しなさいよ」
「あ、わ、私追加分作ってきます!」
「わー葵まだ良いって!!今から作ってたらキリねぇよ!」
「正論…」
そんなにマナー悪くないわよと心外そうに言う陸に、お前のはマナー以前の問題だろと呆れた用に笑う薪。オロオロといったりきたりしている葵をまぁまぁとたしなめる来斗に、哉媛の鉄拳が飛んだ。南月の優しい笑い声と、騒ぐ大人達に呆れてため息を落とす透麻の対比がいつもながらおかしい。
ふ、と笑ってしまうとなに呑気に笑ってんだと周りからの視線が突き刺さった。
仲間と呼んでくれる人たちがいる。
友人と言ってくれる人たちがいる。
冷たいとばかり思っていた世界の中で、ぬくもりは確かに持っていたのだ。
「緋莢さん本当におめでとうございます」
プレゼント後で見てくださいね、と照れながら言ってくれた葵に続くようにして陸が私のもと騒ぎ出す。次々と喋り出すので、まるで連鎖反応だ。後で皆で一緒に開けようと提案してみると、すんなり頷かれて拍子抜けした。
薪が嬉しそうに笑う。
「なぁ、また言っていいかな?」
「え?」
「あ、俺も言うで~!」
「ずるいずるい私も!」
「何回言うんですか貴方達…」
「とか言って、透麻くんも言いたい癖に」
「わ、顔赤い…」
「あんたも可愛いとこあんのね~」
は?え?とテーブルに並べられた料理を前にお預けを食らっているはずの面々を見渡して首を傾げた。何故一様に嬉しそうなんだろう。竹島たちが作ってくれただろう料理はどれも美味しそうで、陸なんて早く食べたくてたまらないだろうに。
あぁでも、本当に美味しそうだな。俺の好物ばかりある。誕生日だからって、こんなにして貰わなくても良かったのにな。嬉しいのだけど少し照れ臭い。だって今日は朝から何度も何度も、こうやって―――
「あーもー、皆で言えばいいじゃん!そんで食おーぜ!」
「はい賛成~!食べたらケーキ出しましょ!」
「その後プレゼントな!はい、じゃあせーの」
「「「「「「「誕生日おめでとう~!!」」」」」」」」
ほらやっぱり、照れてしまう。
俺はありがとうと言うのが精一杯で、その後何を食べたかあまり覚えていない。ただどれもすごく美味しかったのは、知っているから。
いっそ死んでしまえと望んだ人間に、
死にたいと願った俺は、
恨みたくなるくらい生かされている。
(これが、幸せ、なのか?)
気づくのが遅いよ、お兄ちゃん。誰かがまた楽しそうに笑った。それがずっとずっと続いてくれればいいなんて思う自分に、緋莢は今日初めての笑い声を溢したのだった。
*********
おめでとう緋莢
おめでとうございました緋莢
まじごめんね
ありがとう
文中でありがとうと薪くんに言わせようとしたけど、薪くんは言わないだろうなって思ったので、出せなかったな。それでいいのかもしれない。
遅れに遅れたのは時期が悪いです緋莢。
これでも地味にぽちぽち打ってたんですよ25日から!!!!!!
はああ…ごめんね。緋莢すきだよ。ありがとう。
おめでとう文章をかきたかったのに失敗した。くそー!漫画の方は年内はむりです。ごめんねえええ
もしかして俺は幸せなんじゃないかと思う。
親が事故で死んで、どうにか生まれた妹は病弱で、十にもなる前にこの世を去って。一人になった俺は、訳も分からず闇に沈んで、道が分からずただ他の命を奪って。
もう光なんて浴びれやしないのだと思った。
このまま死んでゆくのだと思った。
薄汚れた人間の中で、人間を憎んで殺して、こんな世界は凍てついてしまえばいいと、思ったんだ。
―――でも、お前も人間だろ。
そんな言葉一つで、カチカチに固めた決意が溶けていったことに自分で自分を罵った。そんなに脆い覚悟だとは思わなかった。
結局俺のそれは、ただの虚勢だったのだけれど。
そいつの言う事は至って普通の、当たり前のことだった。何故そんなヤツの言うことに心を揺さぶられたのか今でも分からない。
妹を殺したのは醜い人間で。だけどその人間を異端の力で殺した俺もまた人間だと言うのだ。そんなこと分かりきっていたのに、だからこそ悔しさを感じたというのに、いつの間にか忘れていたらしい。俺も、妹もまた、ただの人間であったのだと。酷く人間臭いソイツに言われてしまえば、反論する気にもなれない。
俺は―――牧村緋莢という人間は、特別だった。世界を救う力を与えられて、人を傷つけるやり方しか知らなかった。特別なんて言葉ばかりで、俺は多分、俺の思う人間そのものでしかなかったのだ。
だからだろうか。
非力な人間でしかないだろうその少年の言うことに圧倒されてしまうような力を、眩しさを感じたのは。人間であることを、嬉しく思ったのは。
道を踏み外した自分を正してくれた平凡で非凡な存在の、行く末が気になってしまったのは。
光はすぐそこにあった。
気付かなかったのは影ばかり見てた所為だよと、当たり前のことだろと、笑う。
そう笑われる度に思うのだ。
よく俺は冷たい手をしていると言われるけど、それはお前らが暖かすぎるのだと。そんな、当たり前のことを。
(もしかして)
「おーい緋莢ー?なに主役がぼーっとしてんねん」
「え、あ、あぁ」
「あぁじゃないわよ…。いいの?そんなんじゃ私ぜーんぶ料理食べちゃうわよ」
「陸さんは言わなくても食べますよね」
「あんたね、ちゃんと緋莢の分くらいは残しなさいよ」
「あ、わ、私追加分作ってきます!」
「わー葵まだ良いって!!今から作ってたらキリねぇよ!」
「正論…」
そんなにマナー悪くないわよと心外そうに言う陸に、お前のはマナー以前の問題だろと呆れた用に笑う薪。オロオロといったりきたりしている葵をまぁまぁとたしなめる来斗に、哉媛の鉄拳が飛んだ。南月の優しい笑い声と、騒ぐ大人達に呆れてため息を落とす透麻の対比がいつもながらおかしい。
ふ、と笑ってしまうとなに呑気に笑ってんだと周りからの視線が突き刺さった。
仲間と呼んでくれる人たちがいる。
友人と言ってくれる人たちがいる。
冷たいとばかり思っていた世界の中で、ぬくもりは確かに持っていたのだ。
「緋莢さん本当におめでとうございます」
プレゼント後で見てくださいね、と照れながら言ってくれた葵に続くようにして陸が私のもと騒ぎ出す。次々と喋り出すので、まるで連鎖反応だ。後で皆で一緒に開けようと提案してみると、すんなり頷かれて拍子抜けした。
薪が嬉しそうに笑う。
「なぁ、また言っていいかな?」
「え?」
「あ、俺も言うで~!」
「ずるいずるい私も!」
「何回言うんですか貴方達…」
「とか言って、透麻くんも言いたい癖に」
「わ、顔赤い…」
「あんたも可愛いとこあんのね~」
は?え?とテーブルに並べられた料理を前にお預けを食らっているはずの面々を見渡して首を傾げた。何故一様に嬉しそうなんだろう。竹島たちが作ってくれただろう料理はどれも美味しそうで、陸なんて早く食べたくてたまらないだろうに。
あぁでも、本当に美味しそうだな。俺の好物ばかりある。誕生日だからって、こんなにして貰わなくても良かったのにな。嬉しいのだけど少し照れ臭い。だって今日は朝から何度も何度も、こうやって―――
「あーもー、皆で言えばいいじゃん!そんで食おーぜ!」
「はい賛成~!食べたらケーキ出しましょ!」
「その後プレゼントな!はい、じゃあせーの」
「「「「「「「誕生日おめでとう~!!」」」」」」」」
ほらやっぱり、照れてしまう。
俺はありがとうと言うのが精一杯で、その後何を食べたかあまり覚えていない。ただどれもすごく美味しかったのは、知っているから。
いっそ死んでしまえと望んだ人間に、
死にたいと願った俺は、
恨みたくなるくらい生かされている。
(これが、幸せ、なのか?)
気づくのが遅いよ、お兄ちゃん。誰かがまた楽しそうに笑った。それがずっとずっと続いてくれればいいなんて思う自分に、緋莢は今日初めての笑い声を溢したのだった。
*********
おめでとう緋莢
おめでとうございました緋莢
まじごめんね
ありがとう
文中でありがとうと薪くんに言わせようとしたけど、薪くんは言わないだろうなって思ったので、出せなかったな。それでいいのかもしれない。
遅れに遅れたのは時期が悪いです緋莢。
これでも地味にぽちぽち打ってたんですよ25日から!!!!!!
はああ…ごめんね。緋莢すきだよ。ありがとう。
おめでとう文章をかきたかったのに失敗した。くそー!漫画の方は年内はむりです。ごめんねえええ
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