基本独り言です\(^o^)/
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2024/09/23/Monday
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おうざきくんとあきちゃん
2011/10/29/Saturday
つらつら書いてたらそれなりの長さになったのでうp
凰崎×亜希ですのでご注意。
見た目だけだと完全に犯罪者です。
凰崎×亜希ですのでご注意。
見た目だけだと完全に犯罪者です。
その存在は、あの人のおまけでしか無かった。
あの人は一人で何処までも行っていつの間にかなんでもなかったようにすべてを終わらせてしまうから、私はそれが心配でもどかしくて仕方なかった。そんなあの人に振り回されつつも、上手く手綱を掴んでいた人を知っている。
あの人を見守るには外せない付属品、視界に入ってしまうのは仕方ない。それだけだった。
それだけだったのに。
『凰崎颯太』なんて名前が持つ権力の全貌を知るものは、その世界に内通している者のまたごく少数でしかないのだろう。かく言う私も、家が家でなかったら目にすることすらなかったにちがいない。
世間一般でその効力を発揮することは殆どないが、それが『凰家』の跡取りとなればまた別である。凰家と言えば医療に力を入れたグループでその最新鋭の技術は世界でも認められており、また最近ではあらゆる商業取引にもその名を轟かせている。その凰家の時期総帥が、凰崎颯太であり―――目の前でアホ面を惜しげもなく晒しているその人なのだ。
「亜希~暇~」
「…。」
全身から力を抜いただらしない格好で呻くように暇だと訴えているこの白髪の青年。世界の凰家の次期トップが齢二十歳の若造ということはそこかしこで囁かれているものの、書面での合理主義な印象と縁側でだらける彼を見て誰が同一人物等と突拍子のないことを考えるだろう。
それに凰家はただ業績のある組織という訳ではない。格式たる歴史と、一般世界にはけして知らされることのない力を持っているのだ。
凰―――『KING』―――の力を統べる組織。
流れる血でもって力を持つ者を管理しているのが通称本家、その現当主が凰崎颯太。彼はむしろこちらの役目に重きを置いてると言っていいだろう。一般世界に置ける凰家の外交や運営は、彼の叔父がしていて彼はあくまで跡取りというスタンスだ。世間体を気にしてか、使いたい放題の権力に興味がないのか―――間違いなく後者である。だから『凰崎颯太』の名が表に出ることは殆どない。
異端の力を統べる現当主は、若いながらも上に立つものとしての風格を感じさせているようで、彼を支持する分家も少なくないようだ。こればかりは生まれ持ったカリスマというやつなのであろう。
―――と、ここまで説明したがそれらの権威などは私にはどうだっていい。
凰崎颯太がどんなに持て囃されようが憎まれようが、家の呪縛から逃れた自分には関係ないことだしそこまでの関心もない。
そもそも私の家と彼の組織は敵対関係にあったようなものだし、本来関わりあいなどあるわけもないのだ。ありふれた分家の出である私を、いくら身内がいないからと言って引き取る縁も恩もない。のに。
「…颯兄はさあ…」
「ん?」
「光源氏とか好きなの?」
「はい?」
このご当主様は本家へ攻撃を仕掛けた矮小な分家のほぼ首謀者である橘亜希を引き取ってのうのうと生かしている。
小学生のような見た目の私を甲斐甲斐しく世話する姿に、一時期はなにを企んでいるのかと探りをいれたこともあった。
なんせ、引き取り手のいなくなった私に「普通に暮らそうか」と差し伸べたのだ。なにもメリットもないというのに。
今なら、そう思うこともないのだろうけれど。
―――そう、それが問題なのだ。
私が彼に紛れもない興味を抱いてしまっていることが。
「光源氏なあ…あ、なに?じゃあ亜希は俺の紫?」
「うわあ…颯兄変態」
「えー?そういう話じゃねえの?あ、でもそうなるとお前の姉貴が藤壺の君か?」
一番最初に目を惹いた存在は、今ここにいない。恐らく授業中だろう。真面目に受けているかは分からないが、あの騒がしい幼なじみや同居人が放っておく筈がない。嫌々ながらも、仕方ないと溜め息をつく姿が目に浮かんで亜希は口元を緩めた。
あの人はひどく不器用に全てを守ろうとする。奇怪な生き物に出会ったものだと、その滑稽さに哀れみも抱いていた。多分、橘莉緒―――私の姉もそうだった。
そして私から見れば、姉も十分不器用な部類だった。
だから不器用同士が互いに距離を図りかねていたのも互いを羨ましく思っていたのにも当然気づいていたが、その頃の私はとても捻くれていて、そんな二人を見てもつまらない茶番だと影で笑っているだけだった。
だから、きっと。
私があの人を見守るのは、罪滅ぼしなのかもしれない。
心のどこかで面白いと思っていたのもあるだろう。でもきっと、姉が惹かれなかったら見向きもしなかった。
今は勿論、あの人のことをかけがえないと思う気持ちはあるのだけれど。
いつの間にか私の思考さえを占領するようになっていたのは、あの人ではなかったのだ。
考えに耽る私をよそに、その場しのぎの戯れ言を楽しげに返していた颯兄がふと言葉を濁した。そして軽いようにも真剣にもとれる神妙なトーンで笑う。
「…それなら、ちょっと俺には荷が重いな」
嗚呼、姉の気持ちも、あの人の思いも、彼は知っているに違いなかった。
彼はあの人のことを気に入っていたし、姉にも幾度となく会っている。人の上に立つものとして、また彼の性質が不器用なあの人達を放っておかないだろう。
だから周りに迷子のような人が集まるのかなと、ぼんやりと、思った。
私には、あの人も、姉も、眩しすぎる。
頼りないようで確かな光が欲しい。
―――まるで迷宮に差す一筋の、心許ない道しるべが。
「…颯兄にお姉ちゃんは勿体無いよ」
「言われると思ったから先回りしてやったのにこいつはもう…」
「でも」
きっと、損な役回りをしている。
彼も、私も。
「私に颯兄も勿体無いね」
今まで気づかなかったけれど、似ているのかもしれなかった。
この興味は、同族嫌悪に限りなく近い。興味があるのだ。彼の色々な顔を見れたらと追ってしまうのだ。
気紛れに構ってくる戯れのような優しさも残酷さも、理不尽と思いつつ享受していたのは心地よいからだ。
暖かい、光を浴びているようで。
「…勿体無い、ってことはないんじゃないの」
「え?」
「俺には亜希が手一杯だけど。亜希は?俺じゃ物足りない?」
「…………なにを」
「亜希」
(俺を見て)
暗闇に落ちた木漏れ日を、その手を、今度こそ私は自ら掴んでしまう。あれだけ躊躇して、あんなに認めたくなくて、迷いに迷ったというのに簡単なものだ。
この手が有る限りもう迷わないだろう。否、迷えない。
お前らは器用でもめんどくさい奴らだよな、と一番言われたくないあの人達に笑われた気がした。
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※颯太くんは見た目小学生な亜希ちゃんを本気で口説ける二十歳です。
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