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基本独り言です\(^o^)/
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気付かないし気付けないね
チロ←直くんに見せかけた、直チロ→遼くん。
意味がわからない

オレは別に可愛いものに目がないだとか特別好きだとかそういう趣向な訳ではない。むしろテレビで特集される愛玩動物なんて興味さえ惹かれないし、散歩中の犬に目を奪われるなんてこともない。猫は気ままで良いと思うし、犬は従順で好ましいが、それだけだ。猫も犬も鳥もどんな動物にも、ミーハーに騒ぐ女のようにはなれやしない。
でもオレはチロが好きだった。
目はくるりと丸くまるで宝石のように透んだ色をしているし、ぴょこんと周りを警戒して立つ二つの耳も、ふさふさの毛も、感情に忠実な尻尾も全てが愛らしいと思う。
今までどんなものを見ても抱かなかった感情に、正直オレは戸惑っていた。


「またお前チロで遊んだろ」


遼の声はいつも簡潔だ。しかし言葉が足らない、というか誤解を与える言葉選びをする奴だと思う。

「でってなに!オレはチロと遊んだの!」
「あ、間違えた。わり。チロに遊ばれてたんだな」
「そう!…って違うし!」

しかもわざとだ。分かりにくい。須桐遼は非常に分かりにくいとオレは思ってる。多分これは、あの清水先生も同感してくれるはずだ。笑いのセンスも、嫌みも、愛情も分かりにくいのだから。
そんな彼が何も言わずに、オレやチロを受け入れて家に住まわせているのは意外だった。分かりにくいと思ってた彼が、ひどく分かりやすいと思ったのだ。
分かりにくいしきっと遼の思考なんて理解出来る日は来ないだろうが、それでも彼の優しさだとか不器用さは伝わるのだから恐ろしい。
そんなだからチロは、彼を好いているんだろう。


(うらやましい)


オレは、はじめての愛でる対象にとことん嫌われていた。
とはいえ、チロに嫌われるのは仕方ないことではあるのだ。かつて実験動物として千賀博士の元にいたあのこを、手酷く扱ったのは、例えジャックの支配下にあったとはいえ紛れもないオレなのだから。
何度謝ったって、どんなに愛でたって、敵じゃしょうがない。


(うらやましい)


おまえも、敵だった筈なのに。
なあそうだろ?


「おい」
「、え」


気付いたら目の前に視界を遮る手のひらがあった。
家にいるのはオレと遼だけなのだから、この手の持ち主は遼だ。しかし眉をしかめてオレの目を覆う意味は分からなかった。


「なにチロ睨んでんの」


は?睨むわけないじゃん。


「…愛でてたんだって」


こんなにおまえを羨ましくなるくらい敵だったあのこが可愛いというのに、あのこはおまえに囲われて、あのこはおまえの分かりにくい優しさやら愛情を敏感に悟って、なあ、うらやましいだろうが。
敵だったんだ。オレは、あのこの、おまえは、オレの。巡りめぐって共存することになるのなら、最初から無かったことに出来ないのなら、ひたすらにうらやましいとオレは思う。
でもきっとおまえには理解出来ないよ。そんな風に考えるオレの緩む口元の訳なんて、絶対、一生。




チロはときどきオレをじっと見つめるときがある。その度にあわあわとするオレを笑ってる気がする。
そんなときに憎たらしくなって、それでもまた可愛いなと思うのだ。きっと彼だってそう思うときがあるに違いない。
理解できないだろうけど、オレは、ただそれが。
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